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学習会 |
世界的視野で社会を考える(シンク・グローバリー)
~経済のあり方、平和を願う国々~
講師 浜林 正夫さん (一橋大学名誉教授)
<要旨>
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- 「グローバルに考える」とは?
世界の中で日本を考えるとき、無修正に世界の流れに追随するのではなく、何が正しく大事かを見極める必要がありますが、その考えの基準は人権と平和です。
- 戦後世界経済の基本はグローバリズム
第1次世界大戦の先勝国(英・仏・米)は植民地をまとめ、他国との貿易に関税をかけ、資源を独占するブロック経済の形をとりました。これに対抗した独・伊・日と衝突し第2次大戦へ。大戦後は貿易制限や資源を独占せず、グローバル経済を目指しブレトン・ウッズ協定、世界銀行とIMFの設置、GATTを締結(後に改組されWTOに)。
- このシステムはうまく動いているか
世界銀行もIMFも開発援助や復興のために多額の出資をすることでアメリカが支配。基軸通貨のドルの発行増からニクソン・ショックやプラザ合意を経て1ドル360円から現在の100円程まで下がり続ける。赤字解消のためには輸出を伸ばす努力をすべき所を軍需産業に力を入れたため、アメリカ資本が投機に走り世界的金融危機が発生。
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金融危機はなぜおこったのか
湾岸戦争景気が落ち着きITバブルが崩壊、その後、住宅バブルに。住宅ローンの債権を証券として広く売り出し、住宅ローンの焦げ付きが表面化し、その被害が世界中に広がりました。
- 金融危機からどうやって立ち直るか
投機資本の規制が必要。日本はアメリカ経済の被害を受け輸出不振に。今、アメリカの回復を待つか、代わる輸出先に重点を移すか、輸出依存型から内需型へ転換するのか問われています。
- 世界の平和維持のためのシステム
国際連盟(1920年)はアメリカの不参加等があり戦争防止に無力。不戦条約(1928年「締約国は・‥戦争を放棄することを各自の人民の名において宣言する」)は後に日本国憲法の制定の参考に。国際連盟の失敗を反省して制定された国際連合は(1945年)は、国際の平和と安全維持のため、武力制裁や集団的自衛権も認めていますが、安保理常任理事国の拒否権により、適切な行動が取れないことも。日本の平和を守るために、憲法前文と日本の平和のあり方が定められている9条の非武装平和の原則を守ることが大切。世界では、これまでのアメリカ中心の軍事条約に代わり地域安全保障機構や兵器禁止条約等が作られました。そしてオバマ米大統領のプラハとカイロの演説のように世界は明らかに平和を目指しています。
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