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エネルギー基本計画の見直しに向けての要望

埼玉県生活協同組合連合会

会長理事 岩岡 宏保

 2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故は、日本のエネルギー政策のあり方に対する国民の価値観に大きな転換をもたらしました。それは、原発事故が一度起きれば取り返しのつかない被害をもたらすものであることを誰しもが認識し、各種の世論調査でも原発再稼働への反対が過半を占めていることがそれを示しています。

 また、原発事故から7年を迎えようとしていますが、今もなお5万人以上の方々が故郷を離れ、先の見通しの立たない不自由な避難生活を余儀なくされています。

 2014年に「エネルギー基本計画」が閣議決定された以降、世界のエネルギーや環境を巡る動きは大きく変化し、海外では、建設コストの高騰等もあり、原子力の退潮が鮮明になっています。経済性からみても、使用済み核燃料の処分費用や廃炉費用、また、安全対策や事故時への対応を考えると巨額の費用を要します。その費用は電気代に上乗せされ国民の負担となります。

 以上、こうした国民の声や被災者の現実を真摯に受け止めその願いを実現する計画、また世界のエネルギー政策の流れにも沿う計画の策定が求められます。

 エネルギー基本計画の改定にあたり、以下の点を要望します。

  • 原子力発電については、すべての判断の大前提として安全の確保と国民の声が最優先されるべきです。どの世論調査を見ても原発再稼働について反対が賛成を大きく上回っており、また使用済核燃料の処理、高レベル放射性廃棄物問題などの見通しも立たない中、原発の再稼動を行うべきではありません。
  • 国民の価値観の変化や使用済み核燃料の処分問題など原子力発電をめぐる状況を直視するならば、現計画の原子力発電目標を見直し、非化石電源としては、再生可能エネルギーを最大重視してその推進施策を強力に行うことを求めます。
  • 徹底した省エネルギー、エネルギー利用のスマート化、人口減少など日本社会の構造変化に対応したエネルギー消費のあり方を追求し、エネルギー使用量の大幅削減を目指す計画を求めます。
  • エネルギー政策は多くの国民にとって大きな関心事です。これまでの供給者中心のエネルギー政策から需要者サイドを重視した国民参加の政策へと転換していくことが必要です。エネルギー基本計画の策定にあたって、審議会での議論と国民からの意見募集(パブリックコメントなど)だけでは不十分と考えます。国民がエネルギー政策の形成過程に積極的に参加できる仕組みづくりを充実・強化すべきです。