埼玉県生活協同組合連合会

原子力政策に対する意見を提出しました

 埼玉県生協連は、政府の原子力政策に関連した4つの文書(「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」、「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」、「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)」、「原子力利用に関する基本的考え方改定」)について、意見を提出しました。
 4つの文書はいずれも、福島第一原子力発電所の事故を教訓に、第6次エネルギー基本計画で示された「可能な限り原発依存度を低減する」との従来方針を大きく転換する内容を含んでおり、脱炭素社会の実現に向けて、省エネを推進し、再生可能エネルギーの最大限の活用を進めるという政策と整合が取れないものとなっています。
 以上のことから、埼玉県生協連は、政策の再考と見直しを求めました。

●「GX実現に向けた基本方針」に対する意見

(意見)
(1)原子力発電の積極活用という基本方針は、第6次エネルギー基本計画で示された「可能な限り原発依存度を低減する」との従来方針と整合しません。原子力の活用については、広く国民が議論できる機会を保障し、国民合意のうえで方向性が決定されるべきです。
(2)気候危機を回避するためには、2030年までのCO2排出削減が重要であり、原子力や火力発電に依存せず、再生可能エネルギーを主軸とすることを求めます。
(理由)
(1)基本方針では、原発再稼働への総力結集、既設炉の最大限の活用(運転延長)、次世代革新炉の開発・建設など原発を推進する方針が並び、従来方針を大きく転換する内容となっています。
しかし、原子力発電は、未解決な最終処分場問題、建設コストや安全管理にかかるコスト、事故リスクや廃炉にかかるコストなどさまざまな課題を抱えています。膨大なコストをかけて管理し続けなければならず、いったん暴走すれば、長期にわたり甚大な被害を引き起こす恐れがあるという点において、原子力発電は他の発電方法とは大きく性質が異なるものです。
福島第一原子力発電所事故の教訓は、原子力利用に安全神話は存在せず、むしろ安全管理が困難で、過酷事故を引き起こすリスクもあることから、原発に頼らない政策を推進することにありました。
今回の報告は、限られたメンバーにより、わずか4か月という短期間の議論で策定されました。南海トラフ地震をはじめ巨大地震が想定される日本において、次世代にも大きな影響をおよぼす原子力発電のあり方については、広く国民的な議論を行い、国民合意のもとに、あらためて決定されるべきです。
(2)世界的な気候危機を回避、2050年にカーボンニュートラルを実現するために、2030年までにどれだけCO2を削減できるかが重要とされています。
今回の方針で示された次世代型の革新炉の開発・新設はそれには間に合いません。
基本方針に掲げられた「再生可能エネルギーの主力電源化」を推進するのであれば、原発や火力発電に固執せず、再生可能エネルギーを脱炭素の主軸とし、電源構成における比率を国際的水準である50%まで高めることを求めます。

●「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」に対する意見

(意見)
 原子力発電の積極活用という行動指針(案)は、第6次エネルギー基本計画で示された「可能な限り原発依存度を低減する」との従来方針と整合しません。原子力の活用については、広く国民が議論できる機会を保障し、国民合意のうえで方向性が決定されるべきです。
(理由)
 行動指針(案)では、原発再稼働への総力結集、既設炉の最大限の活用(運転延長)、次世代革新炉の開発・建設など原発を推進する方針が並び、従来方針を大きく転換する内容となっています。
 しかし、原子力発電は、未解決な最終処分場問題、建設コストや安全管理にかかるコスト、事故リスクや廃炉にかかるコストなどさまざまな課題を抱えています。膨大なコストをかけて管理し続けなければならず、いったん暴走すれば、長期にわたり甚大な被害を引き起こす恐れがあるという点において、原子力発電は他の発電方法とは大きく性質が異なるものです。
 福島第一原子力発電所事故の教訓は、原子力利用に安全神話は存在せず、むしろ安全管理が困難で、過酷事故を引き起こすリスクもあることから、原発に頼らない政策を推進することにありました。
 南海トラフ地震をはじめ巨大地震が想定される日本において、次世代にも大きな影響をおよぼす原子力発電のあり方については、広く国民的な議論を行い、国民合意のもとに、あらためて決定されるべきです。

●「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)」に対する意見

(意見)
 原子力発電の運転期間の延長は、実施すべきではありません。
(理由)
 原子力発電は、30年から40年を設計寿命として建設され、福島第一原発の事故後に、技術的事実をふまえた上で、運転期間は原則40年という規定になったものです。
 現行の40年であっても、いわゆる核のゴミと呼ばれる最終処分場問題は未解決であることをはじめ、安全対策や建設にかかるコストも上昇し、いったん事故が起きればさらにコストが増すなかで、停止期間も含めて60年を超える運転期間に延長すれば、安全確保のためのコストがまた増えることは目に見えています。停止中の原子力発電所の再稼働の条件も整っていないなかで、運転期間を延長することはすべきではありません。

●「原子力利用に関する基本的考え方改定」に対する意見

(意見)
 2030年までのCO2排出削減にはつながらないばかりか、従来の原子力政策を大きく方向転換する次世代型の革新炉の新設に取り組むべきではありません。
(理由)
 2050年にカーボンニュートラルを実現するために、2030年までにどれだけCO2を削減できるかが重要ですが、次世代型の革新炉の新設はそれには間に合いません。しかも、新設すれば、その先40年稼働し、原子力発電が長期に維持されることになります。研究・開発・建設にかかる膨大なコストを国民が負担し、最終処分場や廃炉に関わるリスクとコストを将来世代が長期にわたり負担することとなります。
 福島第一原発事故の教訓から導いた、可能な限り原発依存度を低減するとの従来方針を堅持し、再生可能エネルギーの最大限の活用など、原子力に頼らない政策を推進すべきです。
 また、「基本的な考え方」の改定であるにも関わらず、短期間の議論で作成されており、国民の理解を得ることは困難です。国民への情報提供と丁寧な説明、議論の機会の設定、とくに、若い世代や環境団体の意見を聴く機会を設け、検討を継続することを求めます。