7月22日(月)10時30分より、第60回埼玉県消費者大会プレ学習会を開催し、埼玉大学ダイバーシティ推進センターレジリエント社会研究センター准教授 瀬山紀子さんを講師に、141人(会場64人、Zoom77人)が参加しました。
今年の第60回埼玉県消費者大会は、県内20の消費者団体が3月から実行委員会を開催し、10月17日の大会開催に向けて、社会状況や消費者課題について学びながら、話し合いを進めています。プレ学習会では、今年1月に発生した能登半島地震や過去の災害支援から見えてきた課題など、さまざまな実践を踏まえてお話しいただきました。
講師の瀬山さんから、過去の震災の当事者による調査やまとめ、東日本大震災の際には「震災と女性」「女性・子どもへの暴力」「障害のある人たちの困難」などについての調査が紹介されました。熊本地震では「育児中の女性へのアンケート」「外国人シングルマザーインタビュー」「セクシャルマイノリティの人たちが抱える困難」などが紹介され、災害時には脆弱な立場に置かれた人たちがより大きな負の影響を受けることが話されました。
次に、国の「防災基本計画」の改定が進み、前述の弱い立場の人たちの視点を取り入れた防災体制の確立や男女のニーズの違い等男女双方の視点に十分配慮する、女性や子育て家庭のニーズに配慮した避難所の運営などについても記述されていることが紹介されました。ただし、必ずしも自治体や地域で、そのような進展が浸透しているとはいえない状況であること、地域間格差も大きいことが話されました。また、防災に関する意思決定の場には女性の割合が極端に低いこと、そして、女性委員比率と多様な被災者を想定した備蓄とは相関関係があるとの調査結果についても話されました。
最後に、日頃から、多様な住民が暮らす地域の中で、ジェンダーや多様性に配慮し、暴力やハラスメントのない地域づくりを進めていくことが大切である、防災は地域のつながりづくりのきっかけをつくる重要なテーマであり、同じ問題を繰り返さないためにも過去から学び、自分たちができることを考え、行動に移すきっかけとしてもらいたいと結ばれました。
講演後、質疑応答、会場10グループ、Zoom2グループ、計12グループで、感想や自分にできることは何かなど、意見交流しました。
参加者からは、「女性の参画は被災者の生活の質に直結する、ということが心に残りました。 また、国のガイドラインで女性の安全が守られていく文言が入っていることをはじめて知りました。自治体の防災訓練では、やはり女性は炊き出し班です。このことも、とても大切だと思いますが、運営側に様々な視点の意見が大切になっている昨今ですので、積極的に運営が変化していく必要性を感じました」『過去の経験から「課題を知る」「好事例を知る」「いまできることを知る」こと。 1人ひとりが意識をし、過去の経験からつないでいくことで、災害時の対策や実際に直面した時にできることは変わってくると思います』などの感想が寄せられました。