埼玉県生活協同組合連合会

第7次エネルギー基本計画(案)に対するパブリックコメントを提出しました

第7次エネルギー基本計画(案)に対する意見

埼玉県生活協同組合連合会
会長理事  吉川 尚彦

1.温室効果ガス削減目標は2035年66%以上、2040年77%削減(2013年比)としてください

第7次計画(案)の削減目標は2013年比で2035年に60%削減、2040年に73%削減となっていますが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が気温上昇を1.5度以内にするために示した目標は、2019年比で2035年に60%、2040年に69%です。国際目標と整合性を取り、少なくとも2035年に66%、2040年に77%とすることを求めます。

2.省エネルギー社会の構築をめざし、施策を強化し、電力需要の将来見通しについて再検討してください

脱炭素社会の実現に向けては省エネの推進が最優先課題となっています。省エネ家電への切り替えや断熱化など、家庭における省エネの余地は多く残されており、行政の省エネ補助は申込期間の終了を待たずに上限額に達する状況が続いています。「デコ活」(脱炭素につながる新しい暮らしを創る国民運動)など消費者がライフスタイルを転換できるように支援を強めてください。

また、データセンターなどの増加から電力需要を多く見積もり、そのことを根拠に原子力発電の拡大を見込んでいますが、事業におけるエネルギーの効率化・省エネ化の流れは変わることはなく、人口減少など需要を下げる要因もあります。電力需要の見込みについては今一度精査することを求めます。

3.脱炭素化に遅れが生じないよう、再生可能エネルギーを最大限導入し、化石燃料発電への依存を減らし、石炭火力は廃止の方向を明確にしてください

計画(案)の2040年における電源構成は、再生可能エネルギー4~5割、原子力2割、火力発電3~4割程度となっていますが、これは、2030年の再エネ目標(36~38%)、火力発電目標(約4割)とほとんど変化がなく、脱炭素社会の実現という目的と乖離しています。また、再生可能エネルギーの発電コストは減少している一方、化石燃料の高騰により火力発電コストは上昇し、消費者のくらしにも大きな影響を及ぼしています。さらに石炭火力はいまだ30%程度を占めており、このままでは脱炭素化に遅れが生じてしまいます。温暖化防止と経済性から、再生可能エネルギーを主電源とする政策に転換することを求めます。

4.原子力発電については、「可能な限り依存度を低減する」との政策を維持してください

第6次エネルギー計画では「低減する」としていた原子力発電が、第7次計画(案)では「最大限活用する」と、国民的な議論もないまま変更されています。

福島第一原子力発電所事故の負の影響は終わりが見えず、原子力発電の安全対策等にかかる費用は増加しています。また、核燃料サイクルは事実上破綻し、最終処分場の見通しもなく、原子力発電は持続可能性に疑問があると言わざるを得ない状況です。リスクとコストを将来世代に負担させるのではなく、将来的には原発に頼らない社会をめざし、「可能な限り依存度を低減する」との政策の堅持を求めます。

5.若い世代をはじめ、多くの国民が政策決定プロセスに参加できるよう仕組みを整えてください

計画(案)をつくるプロセスで設置された事前の意見集約では、原子力発電は減らす、再生可能エネルギーは増やす、化石燃料からは脱却するなどの意見が多かったとのことです。しかし、これらの意見が審議会でどう扱われたのかなどは不透明のまま、計画(案)が作成されました。また、エネルギー関連の事業に関わる委員が多く、偏りがあるとの報道もありました。重要な政策の立案においては、プロセスの透明化と公平性、そして信頼性を強く求めます。

 

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