適格消費者団体及び特定適格消費者団体の適正な業務運営を確保するための内閣府令(案)及びガイドライン(案)に関する意見

2018年9月14日

埼玉県消費者団体連絡会

<意見>

1.現行の消費者契約法で法定している以上の監督厳格化を行うことに反対します。

(理由)

  • 今回のガイドライン改訂案の内容は、いずれも団体監督を厳格化する内容です。すでに、消費者団体訴訟制度の信頼性を確保するために、消費者契約法第13 条第5項にて、適格認定を受けられない事由が定められており、有効に機能していると考えております。なにより、この法規制のもとで特定適格消費者団体・適格消費者団体の運営をめぐる問題も生じておりません。何故、この時期に、団体へ過重を強いる改正をおこなうのか、理由が見つかりません。
  • また、ガイドラインが法律の規律の範囲を逸脱することは許されるものではありません。消契法第13条5項6号は、適格団体役員の欠格事由として、禁固以上の刑に処せられた者または消契法・消費者裁判手続特例法その他の法令に基づく命令に違反して罰金に処せられた者と定めており、単に行政処分を受けた者や兼務先の所属団体が行政処分を受けた場合の役員を欠格事由ではしていません。しかしながら、今回のガイドラインでは、行政処分を受けた者や兼務先の所属団体が行政処分を受けた場合の役員を欠格事由としており、ガイドラインが法律の規律の範囲を逸脱するものであり、断じて許されません。

2.適格消費者団体の実情をふまえ、必要な支援を求めます。

(理由)

  • 今回の「適格消費者団体の認定、監督等に関するガイドライン」改訂案において、適格消費者団体の事務所に関する規定が厳格化される方向で提案されています。しかし、そもそも消費者団体訴訟制度は国による財政支援も手当てされておらず、適格消費者団体は公益的な活動をおこなっているにもかかわらず関係者のボランタリズムに依拠した活動を余儀なくされています。そうした中でこのような規定が設けられ、適格消費者団体が既存の事務所改修や新規の事務所探しなどの追加的な業務を担わされるようなことになるとすれば問題です。
  • 本来的には適格消費者団体への財政支援が必要ですが、仮にこのような対応を求めるのであれば、国は適格消費者団体に対して、事務所改修費の手当てや消費生活センター等の公共施設の一角を事務所として提供するようなあっせんなどの対応を一緒におこなうべきです。